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help RSS 食料自給率は無理して上げる必要はない

<<   作成日時 : 2010/03/20 23:33   >>

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今日(2010/03/20)の日経に『20年度の食料自給率50%に上げ、農水省が基本計画素案』という記事が載っていました。これは、いただけません。

以下に、日経新聞を引用します。

「農林水産省は今後10年間の農政の在り方を示す「食料・農業・農村基本計画」の素案をまとめた。焦点の食料自給率については現在の41%から2020年度に50%に引き上げる目標を設定。現行計画で掲げた45%を上回る水準とした。農家への直接支払いである農業者戸別所得補償制度などで1兆円程度の公費を投じ、自給率向上を目指すとしているが、実現へ向けた課題は多い。

 10年後の食料自給率については現行計画を5ポイント上回る50%に設定した。08年度の41%から年平均で約1ポイントずつ上げないと達成できない計算。自給率は安価な農産物の輸入増を背景に長期低落傾向に歯止めがかからず、自民党政権では目標年次の先送りを繰り返してきた経緯がある。このところ40%前後で低位安定してきただけに今回の目標は高いハードルといえる。

 自給率向上のエンジンとして掲げたのが、民主党の看板政策の一つである農業者戸別所得補償制度。同制度は生産費が販売価格を上回る赤字分を政府が補てんする内容で、10年度からコメを対象に全国で先行実施する。(日本経済新聞2010/03/20)」




これ、何のための政策なのか、さっぱり理解できません。


そもそも、私たち普通の消費者にとっては、農業自給率はどうでもよい話です。
一般の消費者にとって重要なことは、安全な食品が、適正な値段で、必要十分な量をきちんと買うことができることです。


これを考える上で重要な認識は、世界的な視点で考えた時、食料は十分に足りているという現実です。
食料が偏在している問題はあるのですが、基本的には食料は足りているのです。


食料、なかでも穀物の生産量は、20世紀に化学肥料、農薬、農業機械の導入によって飛躍的に増大しています。

さらに、日本も含め、世界中には休耕地がたくさん存在しています。
もし仮に食料が足りないのであれば、世界中の農家は喜んで耕作を再開するでしょう。
食料だって、商取引の対象となる「商品」なのですから、儲けるチャンスがあれば儲けようと思う人は多いはずなのです。




だいたい、日本だって何十年も減反政策をやっているのです。

もし、本当に食料が欲しいのであれば、減反のために休耕しているところを、もう一度、復活すればよいだけです。

もちろん、長いこと休耕してしまうと、もう一度、耕作を行うことはたいへんなことは分かっています。
しかし、建物や工場があるところを田畑に変えるよりはよっぽど楽なはずです。

それが、現在できていない理由は単純で、経済合理性がないからです。




そういうと、食料が足りなくなったらどうするのだという、いわゆる「食料安保」の議論がすぐ出てきます。

もし、日本で本当に食料が足りなくなった場合、重要なことは、食料を調達できるかどうかです。

食料を作れるかどうかが問題なのではありません。
買うことができればそれで問題ないのです。

仮に世界的に食料が足りない状況となったとしたとき、誰が食料を買えるかといえば、お金を持っている人です。
嫌な言い方かもしれませんが、これが現実でしょう。

ですから、食料安保論をつきつめれば、日本はより豊かになったほうがよく、極論するとお金の稼げる競争力のある産業のみに特化したほうがよいことになります。そして、今、お金の稼げる産業は農業でないことだけは確かです。




お金があるのに、食料が輸入できないというのは非常に考えにくい状況です。
というのは、農産物は世界中で作られているからです。

友好関係が崩れて日本に輸出禁止をする国があったり、干ばつ等天候不順で農作物が取れないことにより一時的に出荷が止まる国があったりすることはあるでしょう。
しかし、その場合は、他の国から買えばよいだけです。


もし、日本が制海権を失うという事態が発生した場合は、食料を輸入できません。
たとえば、ふたたびアメリカと戦争をした場合がこれにあたります。

この場合、食料より問題となるのはエネルギーです。

先ほどのとおり日本には休耕地がたくさんありますが、田畑を耕し、肥料や農薬を作るためには石油が必要です。

つまり、政策の優先度としては、食料は劣後するのです。




私は、農業保護には、かならずしも反対ではありません。
農業はどこの国でも保護の対象です。

安全でおいしいお米を食べるためには、お米の価格が国際価格よりも高くてもやむをえないと考えています。

ですから、何でも自由化だけすればいいとは思いません。

だからといって、今以上に国産食料のコストが上がることや、私たちの税金が無意味に使われることは反対です。


食料自給率を上げるために所得補償というのは、競争力のない農家を生かすだけで、真面目にやっている農家ほどバカを見る政策で、どうにも筋が悪いように思います。

もし税金を農業に投入するのであれば、所得補償などではなく、農業の競争力を上げる方向で使って欲しいと考えます。
そうすれば、結果として食料自給率も上がることでしょう。




本件に関しては、私の話よりも、是非、以下の本を読んでいただければと思います。


「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)』(川島 博之 (著))

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書)』(浅川 芳裕 (著))


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